50代企業内診断士のつぶやき

50代の企業内診断士が、中小企業診断士試験や合格後の副業、iPadなどを使ったペーパーレスに挑戦する様子、エクセルの活用、会社員あるある、等をつづります

8月に発表された、大塚家具の決算書を中小企業診断士目線で見てみました。

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<この記事は1298字です>

 

私は、インテリア業界に身を置いています。ですので業界大手の大塚家具については昔からあこがれもあり、意識していました。その大塚家具がピンチです。

 

その大塚家具の2020年4月期 第二四半期決算短信の内容を中小企業診断士目線でご紹介します。

 

父と娘のお家騒動から業績の悪化が止まらない大塚家具ですが、海外企業からの資本提携などを行い資金調達をして再建の真っ最中です。

そんな中、8月9日に決算短信が公表されました。その中身は残念な内容となっています。

業績悪化

まず、業績です。売上高は落ち込みが激しくなっていた昨年と比較して、さらに悪化しています。

売上高は同年と比較し26%程度ダウン。税引き前最終損失は、4億円近く増え24億3千万円です。

大塚家具が厳しいのは、本業のもうけを示す営業利益で24億円マイナスしている、ということです。これが、不動産売却損や在庫の減耗等の特別損益部分であれば、一時できな損失である為、中長期的には問題がないと言えます。

しかし、本業での赤字は企業の構造的な要因ですので簡単には修復ができません。

キャッシュフロー

業績悪化の影響で、現金の減少が止まりません。営業損失がかさんだこともあり、現金が29億円流出しています。

今期初めに、第三者割当増資で中国系企業と資本提携することで得た出資金の26億円をすでに半期で食いつぶしてしまっています。

残された現金が、30億円ていどですので、このままの状態であと半年経てば現金がなくなる計算です。

売るものがない

貸借対照表を見ますと、売却できるような資産が残っていません。投資活動キャッシュフローを見ても、定期預金や賃貸保証金の返却などで現金確保しており、資産売却は全くしていません。

固定資産で差入保証金という項目がありますが、これは店舗の賃貸契約時の補償金と思われます。これはまさに営業の根幹にかかわるものですので、解約して現金化するわけにはいきません。

新規事業も今ひとつ

伸びている事業として、コントラクト事業(業務用)がありますが、売り上げが11憶程度であり、まだまだ成長するには時間がかかりそうです。また、粗利率が低い事業ですので、有望かどうかも疑問が残ります。

海外向け(特に中国)事業やEC事業などに注力しているようですが、まだ規模が小さくどうなるかわからないですね。

これらの事業は中長期的であり、一朝一夕には、収益の柱になるとは考えずらいです。今大塚家具に必要なのは、短期的な即効性がある施策であり、これらの事業に期待するのは筋が悪いと言わざるを得ません。

まとめ

大塚家具の決算は、少し変わっています。長期安全性指標である自己資本比率は64%あり、安全と言えます。診断士試験的にもそう判断するでしょう。しかし、倒産の危機にあります。

それは、あまりにも業績の悪化が激しいからです。その為、現金が流れるように、まさに流出しています。

今年の年末までに、資本提携先を探し(中国系企業の追加投資もあり)資本注入しないと資金が枯渇します。

 

久美子社長には秘策があるのでしょうか?今後も注視していきます。