50代企業内診断士のつぶやき

50代の企業内診断士が、中小企業診断士試験や合格後の副業、iPadなどを使ったペーパーレスに挑戦する様子、エクセルの活用、会社員あるある、等をつづります

大塚家具の久美子社長辞任について思う事

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2020年12月02日に、大塚家具の久美子社長が辞任したとのツイートを発信しました。10月末にすでに辞任の発表がありましたが、これで正式に退任となります。

その後の役職については、いまだ不明です。久美子社長にどの程度求心力があるのかわかりませんが、影響力を残すような役職にはつかないのではないでしょうか?

ヤマダ電機さん厳しい対応ですね。

今回は、家具業界ウォッチャーかつ同業界に身を置く私が思うことを綴りたいと思います。

久美子社長の取った戦略はどうだったのか?

久美子社長がとった策とは、先代の高額な製品を会員に販売するといった、いい物をよいお客様に販売する戦略から、より低価格の製品を広く一般消費者に販売する戦略への転換です。

以前の大塚家具は、入店の際に記名して会員登録しなければなりませんでした。そして、説明員(アテンド)が基本的に同行接客します。入店する側からすれば、それなりの覚悟が必要でした。インテリアに興味があってちょっと見てみたい、程度の気持ちでは入ることが出来ませんね。

過去の大塚家具は、その高級路線でうまくいきました。しかし、ニトリ、イケア、無印良品などの低価格帯でそこそこいい物を提供する企業の台頭や、インテリアの趣向の多様化(モダン、クラッシック、ナチュラル、古民家風、ミニマリズムなど)により市場が変化しています。

高い家具でそろえることより、安くてもセンスの良い家具でコーディネートという流れに変わっているということです。

その変化に対応する為の戦略変更で、それ自体は、全く問題は無く、良い戦略だったと思います。

 

ヤマダ電機の思惑

ヤマダ電機の狙いはなんだったのでしょうか?その答えは、今後の動きを見ないと分からないのですが、私は資産だと思います。ヤマダ電機は、2019年に一株145.8円で3000万株を第三者割当増資により出資しています。当時の大塚家具の株価は非常に割安で、資産(時価総額)÷資産(簿価)つまりPBRは、1倍程度でした、首都圏に店舗を持っていることもあり、いつ買収をかけれれてもおかしくない状態でした。

そしてヤマダ電機による増資後、大塚家具の株価は現在(2020年12月)は、200円程度まで上昇しています。

つまりヤマダ電機は、大塚家具が持っている資産(多くは不動産)をかなり割安に手に入れ、さらに株価の上昇により10億円以上のキャピタルゲインを得た事になります。

まさに、濡れ手に泡です。ヤマダ電機はしたたかですね。

これからどうなるのか?

2020年12月10日に発表された、第二四半期決算短信によると、売上高は125億円 営業損失13億円、です。内容を見ますと、ヤマダ電機との連携による売り上げは13億円あったとの事。昨年の売上が138億円ありましたが、ヤマダ電機の売上13億円をプラスして125億円ということは、自力では112億円しか売ってないわけで、実質20%ダウンということです。

また、営業キャッシュフローは△20億円です。売上債権が増加し、支払い債務が減少していることが大きな要因です。営業損失が、13億円ですから、さらに7億円の現金が流出してしまっています。

要するに、お話にならない状況ということです。本業での収益が全く改善されていないので、救いようが有りません。

久美子社長は、ヤマダ電機から与えられた最後のチャンスに何をしようとしていたのか、全く見えませんでした。

ここで、社長交代して、新体制になりました。久美子社長は新体制には名前はありません。私が見た限りでは、取締役の中で、旧体制からの参画は1名だったかと思います。大塚家具体制からの脱却です。

しかしながら、大塚家具の使命は、「上質な暮らし」の提案、です。「くらしをシアワセにする、ぜんぶ」を掲げて、家電を大量に安く販売する、ヤマダ電機との親和性はあるのだろうか?

今後の、新・大塚家具の動向に今後も注視していきたいと思います。