50代企業内診断士のつぶやき

50代の企業内診断士が、中小企業診断士試験や合格後の副業、iPadなどを使ったペーパーレスに挑戦する様子、エクセルの活用、会社員あるある、等をつづります

40代、独学で中小企業診断士になれるのか?

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40代独学で中小企業診断士になれるのでしょうか?

そもそも、年代云々ではなく独学で診断し試験に合格できるのでしょうか?当たり前ですが、独学で中小企業診断士になれる人はいます。

 

しかし、私はいままでたくさん(百数十人)の診断士に会っていますが、独学合格者はほとんどいません。東京大学法学部卒の弁護士の方でも予備校に通っていましたね。

 

どういう事かというと、あえて独学を選択するメリットがないということです。

お金はかかりますが、個人の能力にかかわらず、それなりに勉強時間を短縮できます。つまり、お金を使いより効率的に合格を目指せるわけです。

 

特に優秀な方は、すでにかなりの収入がある方も多いですし、資格を取得後、それを活かし稼ぐことができますよね。

 

私も今中小企業診断士の資格を活かした副業をしています。予備校に支払ったお金の数倍は稼ぐことができています。受験当時このことが分かっていれば迷わず初めからちゃんと予備校に通う選択をしただろうと思います。

 

独学を選択した場合は、様々な困難が待ち受けています。中小企業診断士試験は範囲が広く、試験の傾向と対策が不可欠です。通学者は学校に教えてもらえますが、独学者は自分でつかまなくてはなりません。最新の受験傾向などの情報がないのは、大きなハンデキャップです。

 

私の場合は自分のキャリアプランもなく、授業料をケチって独学でスタートし、多年度受験者となって泥沼の受験生活を送ることになってしまいました。

もちろん、すべての独学者のがその様なことになってしまう訳では有りません。個人差はあります。

その辺りを、私の受験経験をあわせながらづづります。

中小企業診断士試験とはどんな試験なのか?

中小企業診断協会のHPには中小企業診断士を下記のように定義しています。ようするに、中小企業へむけた経営コンサルタントを国が認定します、ということです。

中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。法律上の国家資格として、「中小企業支援法」第11条に基づき、経済産業大臣が登録します。
中小企業診断士制度は、中小企業者が適切な経営の診断及び経営に関する助言を受けるに当たり、経営の診断及び経営に関する助言を行う者の選定を容易にするため、経済産業大臣が一定のレベル以上の能力を持った者を登録するための制度です。
 中小企業基本法では、中小企業者が経営資源を確保するための業務に従事する者(公的支援事業に限らず、民間で活躍する経営コンサルタント)として位置づけられています。

 

中小企業診断士の試験は、1次試験(マークシート)、2次試験(記述)、口述試験(面接)、と3回の試験にパスする必要があります。それらを解説します。

 一次試験

一次試験はマークシートで7科目です。700点満点のうち合計得点が420点(60点平均)以上であれば合格です。おおよそですが、合格率は20%で推移しています。科目は、”経済学経済政策”、”財務会計”、”企業経営理論”、”運営管理”、”経営法務”、”経営情報システム”、”中小企業経営・中小企業政策”の7科目です。これらの多岐にわたる分野を広く狭く学ぶ必要があります。また、科目合格制度がありますので、それを利用すれば、3年かけて1次試験をクリアすることも可能なので、仕事が忙しく時間を確保しにくい方も挑戦しやすくなっています。 

ただし、私はお勧めしません、理由は後述します。

1次試験の落とし穴

一次試験には落とし穴があります。一次試験はマークシートという事もあり、合格しやすいし、科目合格制度があるので取り組みやすい、と言いましたが、私はお勧めしません。

その理由は、毎年超難化する科目が登場するからです。

5科目の合格して残り2科目といったケースで、超難化科目にぶつかってしまうと、合格は難しくなります。その科目が得意科目だったとしてもです。

 

例えばH30年の1次試験の経営法務の科目の60点以上の合格率は5.1%でした。受験生の上位5%に入ってやっと科目合格です。いくら得意だとしてもこの科目で得点を稼ぐことは難しいのです。

 

その一方で、簡単になる科目も登場します。情報システムなど、40%位の科目合格率の時もあったかと記憶しています。R2年の情報システムの合格率は、28.7%で少し緩かったですね。

これらの科目がどこで登場するかは、予測がつきません

このようなリスクを分散するためには、できるだけ多く科目試験を受けたほうがいいのです。が・・・そうなんですが、受験科目が増えればそれだけ勉強が大変であることは間違いありません。

下図はR2年の1次試験結果です。全体的に難しい印象があります。極端な難化科目はありませんが、運営管理が一桁台で厳しいですね。得意としている方は不合格にはならないと思いますが、得点を稼ぐことが難しかったと思います。

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2次試験

2次試験は論述試験です。組織、マーケティング、運営管理、財務、の4科目です。試験時間は90分で、それぞれおおよそ1000字位の記述が必要となります。

私の経験で言いますと、中小企業診断士試験はこの2次試験が山場といっていいでしょう。1次試験は、勉強さえすればクリアできますが、二次試験はそうはいきません。単純な知識の詰込みでは通用しません。”合格する為のスキルを身に着ける”といった方が的を射ていると思います。

 

H30の2次試験の平均合格率は18.8%でした。ここだけ見ますと約2割が合格となりますが、1次試験をクリアした中での2割です。1次試験の合格率が約2割とすると、全体としての合格率は約4%となります。狭き門ですね。

2次試験は若い方が有利

また、2次試験に限っては年齢が低い方が高い傾向があります。この試験は企業経営に関する試験であるため社会人経験が多い方が有利かと考えてしまいますが、そうではありません。

もう一度言いますが、2次試験は若い方が有利な結果が出ています。この結果は経験的に何となくわかります。

2次試験は問題文を読んでそれを理解してロジカルに整理する必要があります。そして、時間が足りません。この作業はさながらIQテストのようです。そのあたりがこの若者有利な結果につながっているかと思います。

ネットでの情報では、若い方の方が仕事の進め方の癖がついていないので素直に回答できるので、有利なのだ。といった意見もありますが、私はそうは思わないですね。

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合格者は1000人

そして、最終合格者は毎年1000人程度で推移しています。高確率は、20~25%と変動はありますが、合格者人数にはほとんど差がありません。

これは、合格後に控えている実務補修の受け入れ限度から設定していると聞いたことがあります。つまり2次試験は上位1000人を目指す競争ということになります。

40代での試験突破、1次試験は勉強すれば突破は容易ですが2次試験はそれに加えた”何か”が必要なのです。

2次試験の肝

私は、独学でスタートしましたが、結果的にはいろんな受験校の教材に手を出してしまい、受験対策がばらばらになっていました。どの対策が自分に合っているかがわからなくなってしまっていたのです。そんな泥沼にはまっているうちに気付きました。

問題の構造は簡単なんだ!・・と

  1. 現在は会社がうまくいっている
  2. しかし、経営環境が変化してきた
  3. その変化にいかに対応するか

すべての問題はこの構成でできているということです。(事例Ⅳの財務以外)

このことを意識するようにしたら、回答の質が上がってきたと思います。この構造は、実際の企業経営と同じですね。

今私は補助金申請の副業をしていますが、まさにこのストーリーにはまりますね。

独学で中小企業診断士試験に合格している人は?

 さて、そんな試験を独学のみで合格する強者はどんな人なのか?私が実際に会ったことがある独学試験合格者もしくは、ほぼ独学者は、大きく2つのタイプに分かれます。ほぼ独学者とは、2次対策のみを1ヶ月程度通学し、一発合格した人を指します。

  1. そもそも会社経営に携わる仕事をしている(コンサルタントを含む)
  2. 高学歴な人
  3. 上の条件を兼ね備えており、なんとなく受験している人

1.は、税理士、銀行系、政府機関系、MBA、などです。これらの方たちはすでに経営に関する知識があります。要は、すでに合格する能力を持っている人達です。この試験は、財務に関する知識が必要で一般の方はとても苦労します。その知識をすでに持っている方は、非常に有利になりますね。

 

2.は、東大や京大、早慶などの1流大学出身者です。これらの方はそもそも頭がよく勉強が得意な方たちです。この様な人達は、サッと一発合格していきます。

 

3.ここがポイントですが、上の条件をクリアしており、中小企業診断士試験をなんとなく受験している(あまりよく考えていない)方です。このような方は、「口述試験があることを知らなかった」、「ちょっと興味があったので取り組んでみたら、受かっちゃった」、など私からしたら、信じがたい発言をしがちです。そんな最強の情報弱者が独学合格者です。

 

このような方たちには、私のような勉強弱者は到底かないません。特に2次試験は、IQ的要素もさることながら、国語力(文章力)が問われます。この手の方は受験生時代から、論文などを作成する機会も多いこともあり、力を発揮してきます。

 

従って、1、2、3、のような方が合格者内の上位10%を占めていると思います。私のような弱者にとっては、余った90%(1000名合格として900名)に食い込む必要がありますので、実質合格率は4%より低くなると考えていいのです。

 

最強の情報弱者は置いておいて、優秀な人にとっては最短での合格を、普通以下の人にとっては効率的かつ実力向上の為に予備校に通うべきと私は思います。

私の独学履歴

 私は、上記の独学合格者に全く該当していません。しかも、学費をケチって、何とかなると甘く考え独学でスタートしてしまいました。目先の金をケチったわけです。

その結果、私は多年度受験者となってしまいました。私の残念な受験歴は下記の通りです。

 

1次試験4回 *最初に1次を突破するまで4回を要しました。超難化に撃沈

2次試験2回 *2回の2次試験敗退。挫折。2度目の2次不合格は、精神的にこたえます。

1次試験1回 *何とか気持ちを切替て復活。4度受験の蓄積があり一回で合格

2次試験2回 *背水の陣で何とか合格

 

私は当初この試験の難しさなどあまり考えずに独学で取り組んでしまいました。実力がない情報弱者です。

その結果かなり遠回りをしています。最初からちゃんと予備校に通っていればこんなことにならなかったかもしれません。

まとめ

繰り返しになりますが、私は予備校に通うことをお勧めします。

理由は、試験に合格すれば副業なり独立するなどして必ず予備校費程度の金額は取り返すことができます

また、何より受験を効率的にクリアできるので時間を節約できます。

 

一次試験は独学で突破し、2次試験は学校へ通うという選択もあるかと思いますが、一次試験も財務、経済学、等に関しては暗記に加え理解をしなければなりません。それらを学んでいない状態からのスタートとなるとハードルは高くなります。

 

出費を惜しまず、とにかく効率的に合格し、出費分を取り返す。これがクリティカルパスです。

 

受験生の皆さん頑張ってください!

 

気になる資格がみつかるサイト・資格Hacks|あなたに合った資格がきっと見つかる。

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