50代企業内診断士のつぶやき

50代の企業内診断士が、中小企業診断士試験や合格後の副業、iPadなどを使ったペーパーレスに挑戦する様子、エクセルの活用、会社員あるある、等をつづります

「ここまで頑張ったのだから続けよう!」はダメ 【サンクコストの話】

f:id:okatasan-smec:20191103213636p:plain

<この記事は1093文字です> 

 

 

皆さんは”サンクコスト”という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

実は、私が中小企業診断士試験の勉強中に、最も感心した言葉の一つです。

 

”ここまで苦労して続けてきたのだから、頑張ってやり遂げよう!”といったことをいう方、多くないでしょうか?私の会社にはたくさんいます。私もそう考えていました。

しかし、これは経営的に見ますと明らかな間違いです。

サンクコストとは

サンクコストとは、埋没資産ともいわれます。回収できない投資と言い換えてもいいでしょう。診断士試験の事例Ⅳにも設備の取り換えの判断などで良く出ますね。

試験で良く出るのは研究開発費です。研究開発費は、開発にお金を掛けた後、うまくいこうがいくまいが、回収することはできません。

その費用を未来の経営判断の材料としてはならないのです。研究開発費を省いて、その後のキャッシュフローがどうか?で判断をします。

例えば、映画を観ているとします。しかし開始30で、ダメ映画とわかりました。この映画は残り1時間30分あります。最後まで見ますか?

ここでいう映画のチケット代と30分の視聴時間がサンクコストです。このコストはもう帰ってきません。ですので、このまま、残りの1時間30分なんの得にもならないダメ映画に費やすのは間違いなのです。せっかくチケット代を払い、ここまで観たのだから、我慢して最後まで観よう!と考えがちですが、間違った考え方です。

少し前のニュースで、

高速増殖炉もんじゅが廃炉になるとありました。過去に12兆円もつぎ込んできた核燃料サイクルをあきらめる判断です。

この12兆円はサンクコストにほかなりません。

12兆円が無駄になったことが取り上げられがちですが、そうではなく、12兆円は置いておいて、今からこの計画をどうするということを考え、答えを出す必要があります。その意味では当然の判断だったと思います。12兆円のことは、もったいないのですが忘れるしかないのです。

しかし

私は、中小企業診断士試験を何度も受けた経験があります。その時は、今までこんなに勉強してきたのだから、ここでやめたら今までが無駄になる!という理由で次年も受験することを決意してきました。

これは完全にサンクコストですね。

今までの受験にかかった時間と予備校代は帰ってきません。今までの苦労は忘れて、これからのことだけ考えたら、受験しなかったかもしれません。

私が今中小企業診断士として、いろいろ活動できているのは、サンクコストを考慮した判断があったからですね。

経済学的には間違っていても、このような場合もありそうですね。