50代企業内診断士のつぶやき

50代の企業内診断士が、中小企業診断士試験や合格後の副業、iPadなどを使ったペーパーレスに挑戦する様子、エクセルの活用、会社員あるある、等をつづります

ヒアリングでわかった企業が変化できない3つの理由

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<この記事は1949字です>

 

前回、私の所属する会社での組織の硬直についてつづりました。その後、社内でヒアリングをしていくうちに、業務改革がなかなか進まない要因がわかってきましたのでそれを説明したいと思います。私が勤めるているような企業は結構あるのではないか?と思います。

理由1:仕事は増え続ける

仕事というのは増え続けがちです。

世の中で良いとされているのは、”とにかくやってみよう!””新しいことにチャレンジ”といった、仕事量が増える方向の言葉です。

有名なプロスポーツ選手や大企業を作り上げた経営者は、だいたいこの手の発言をされています。その言葉は、全くその通りですし実際に偉業を成し遂げたわけですので異論はありません。

しかし、その言葉が原因となっているのです。

仕事が増える

その為、業務改革に向けた提案では、すべてが何か新しいことを始める内容となっています。新しい取組に対しては、経営陣からも上司からも異論が出にくいからです。何かを始めるのですから、少なくともマイナスの要素はなくプラスの可能性しかありません。ノーリスクでリターンを狙えるという事です。

実際には、そんなわけもなく、会社の持つリソースは限られていますので、何かが無くなるか、始められないか、のどちらかとなります。

仕事を減らす提案を聞いたことがない

私の会社では、仕事を減らすといった内容の提案を聞いたことがありません。それは、ネガティブな印象を与えてしまうからです。

ならば、「この仕事を始めるにあたり、この仕事を止めます。しかし、トータルでは大きなメリットが見込めます。」という内容で提案すればよいかと思いますが、いかんせん、話がややこしくなります。

それより「この仕事を始めます。そうすれば大きなメリットがあります。」の方が、聞こえがよく提案が通りやすいのです。何かを止める提案は、社内の摩擦にもつながりかねない為極力避けたくなるのも、わからなくはないですけど。

そのあおりを受けるのは、中間管理職や担当者です。今までの仕事に加え、新しい業務が毎年積み上げられていくのです。業務時間は増え続けブラック化していきます。

こんな状態では、改革などできないですね。

理由2:仕事の完成度

ある営業担当の話です。「自分たちはまだ、しっかり仕事ができていません、それをしっかり実施していけば売上は確実に上がるのです」との主張。確かにそうかもしれませんが、私から見ますと彼は十分に仕事をしています。100点満点で言いますと90点でしょうか。

90点を100点にするよりも、30点を50点にする方が簡単ではないか?まだシェアが小さく伸びしろがある分野に取り組んだ方がいいのではないか?と言いたくなるのですが、最前線にいる営業担当はそこまで視野を広げられない上に、まだ10点分のやり残しがある以上他のことを始められる状況ではないのです。

その部分は、幹部社員である部長や役員クラスが支持を出さないと変わらないのですが、理由1が原因でそんな指示は出ません。

挙句の果てには、「働き方改革をするために、明日から19時には消灯する」という謎の命令が下りてきてしまう始末です。

理由3:権限移譲ができていない

会社組織は、担当、係長、課長、部長、などの役職がありますが、部長が課長を飛び越えて係長や担当に直接指示や管理したりすることが横行しています。課長以下で打ち合わせして決めたことが、ひっくり返ることもあります。これではたまったもんではありません。

硬直した組織の状況を打開するためには、権限が委譲されている必要があります。実務は担当者が一番分かっているので、その範囲では権限を与え改善してもいいはずですが、何かを止めるような改善には、上層部は反対しがちです。適材適所で権限を委譲して改革改善を進めるのが最適かと思いますが。

結局、経営者の直下の幹部がすべてを取り仕切り、聞こえのいい提案ばかりを経営者にしてしまっています。しかし、会社のリソースには限りがありますので、すべてが中途半端に終わってしまいます。

まとめ

これらの話は、株式投資のポートフォリオと同じ構造です。投資の資金には限りがありますので、その中でできる限りのパフォーマンスを発揮する必要があります。新しい有望な銘柄を見つけたら、パフォーマンスの悪い銘柄を売却(損切になることもあるでしょう)します。当たり前です。

仕事においても、生産性の出ない仕事は損切して、有望な新しい取組に注力しなければならないとおもいます。

”何かを始めるときは、何かを捨てなくてはならない”これを肝に銘じて、提案や発言をしていかないければならないですね。