50代企業内診断士のつぶやき

50代の企業内診断士が、中小企業診断士試験や合格後の副業、iPadなどを使ったペーパーレスに挑戦する様子、エクセルの活用、会社員あるある、等をつづります

中小企業診断士として会社の利益を説明します

f:id:okatasan-smec:20190331202757p:plain

<この記事は1615字です>

 

先日会社の後輩とこんな会話をしました。

後輩「大口の1000万案件があります。競合との価格競争があり厳しい状況なんで、利益5%で受注したいのですがどう思いますか?」

「利益5%?、利益・・なんの利益?」

後輩「利益ですよ、1000万の売上があって仕入が950万ですから、利益率5%です。利益額は50万あるからいいじゃないですか?」

「おいおい、それは粗利というのだ。それは、会社の利益とはちがうぞ」

後輩「はあ?」

粗利とは?

粗利とは、損益計算書の売上総利益の事です。売上高から原価(仕入)を差し引いたもので経費等を考えずに単に引き算をし計算をします。ざっくりなので、粗利というのでしょう。

違う見方をすると、粗利=付加価値 とも言えます。仕入れたものにいろんな手を加え価値を加えます。それを販売してその価値分が会社に入るわけです。

つまり、粗利=売上総利益=付加価値 なのです。

しかし、会社本当の利益はここから経費を差し引かなくてはなりません。当然ですが、人件費(給料)もここから賄われます。

何が駄目なのか?

後輩の意見は完全な間違いではありません。この場合最終的な利益、会社の儲けとなる為にはどの程度の手間が掛かるのかが問題です。

私の会社では、年間売上目標が1億円程度です。基準の粗利率は30%です。年間稼働日200日としますと、営業マンには一日15万の粗利額を稼がなくてはなりません。

ということは、この案件をこなすのに単独で3日程度の手間(15万×3日=45万)ならば受注しても採算が合うと考えていいでしょう。

しかし、この案件は受注した後の非常に手間がかかる為、3名チーム体制対応して1週間程度かかります。従って採算が合う見込みがありません。

後輩には、無理する必要は無いとアドバイスしました。

また、後輩はもう一つ勘違いをしています。粗利があるイコール儲かっていると思っている事です。

利益と名前が付いているからそう思っても仕方ないかもしれませんが。こうゆう人結構いるかと思います。

損益計算書にある利益の意味

ここで、損益計算書に記載されている5個の利益の意味を整理したいと思います。

売上総利益

これは、その企業が提供している製品やサービスにどれだけ付加価値が乗っているかを表す利益です。自動車を例にとりますと、レクサス、BMW、ベンツなどは高級車であり購入者にはそれなりのサービスがついてきますので、粗利率は高い製品です。一方、中古車、軽自動車、などは粗利率は低くなります。

つまり、良い物を売っているか薄利多売なのかをこの指標で判断できるということです。

営業利益

これは、薄利多売や高付加価値製品を販売するなどして、その企業は本業でどれだけもうけを出しているかを表す利益です。

やり方はどうあれ、本業でどれだけもうけているか、ということです。ここが赤字の会社は救いようがない状態といえます。

経常利益

これは、本業以外の業務を含めたもうけを表す利益です。不動産収入や投資有価証券の配当などを加えた利益です。会社としてどれだけもうけたか、ということです。 

税引前当期純利益

これは、経常利益に特別損益を加えたものです。例えば、在庫を償却した、不動産を売却した際の損益など今期のみに発生するような損益のことです。

今期限りの特別な事情を踏まえたもうけ、ということです。この指標は企業評価にはあまり使いませんね。

税引後当期純利益

 これは、税金を払った後いくら残ったかという利益です。ここから株主への配当がされたり役員賞与がされたりします。残りは、内部留保となり自己資本に加算されます。

まとめ

若手社員の中には、いやベテランの中にも自分の仕事の利益が整理できていない方がいるかもしれません。私の後輩の様な間違いをしていればいつまでたって儲かる様になりません。

これを機に、利益に関して意識していただけると幸いです。