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- 問1(1):創業から2000年代初頭までの期間、大塚家具は成長し強固な経営基盤を築いてきました。その要因を経営環境の側面と自社の強みを踏まえて、説明せよ。
- 問1(2):その後、2018年(H30)には、経営難に瀕している。その理由を述べよ。
- 問2:経営者に対し中小企業診断士としてアドバイスをしなさい。
大塚家具の現在の経営状況は厳しいと言わざるを得ません。そこで以前の”事例Ⅳ風に読んでみました”に引き続き、”事例Ⅱ風”に読んでみました。
大塚家具は、創業以来バブル景気に波に乗って急成長してきましたが、親子の経営権争いに端を発し、急激に業績が悪化しています。
そのあたりを確認していきたいですね。
問1(1):創業から2000年代初頭までの期間、大塚家具は成長し強固な経営基盤を築いてきました。その要因を経営環境の側面と自社の強みを踏まえて、説明せよ。
90年代から2006年頃まで住宅着工数が堅調に推移する中、創業者である大塚勝久氏が、推進した①強力な広告宣伝、②会員制による密度の高い接客、により家具需要を取り込むことができたことが、強固な経営基盤を築くことができた要因である。
問1(2):その後、2018年(H30)には、経営難に瀕している。その理由を述べよ。
経営難となった理由は、2006年(H18)を境に住宅着工件数が大幅に減少しており、その影響を受け売上高が減少した事。また、イケアやニトリなどの競合他社が台頭する中、2015年(H27)に創業者とその娘による経営権争いが顕在化し、世間を騒がせたことが企業イメージを落とし顧客離れを誘発した事である。
問1解説
家具という商材は、引越しや家建てた時に購入される商品です。とりわけ、大塚家具が取り扱っている高級家具に関しては、家を建てたり、マンションを購入した時に売れる製品です。
従って、住宅着工件数と相関がとても強いです。私もインテリア業界におりますが、住宅着工件数はいつも注視しています。
下図は、大塚家具の売上高と営業利益の推移、その下は住宅着工件数の推移です。
売上高は住宅着工件数の影響をうけて、2007年(H19)から(住宅着工件数の1年遅れ)減少し始めています。また、このころ創業者である勝久社長が強気の広告を打った事で広告宣伝がかさみ、売上高の減少より大きく営業利益が落ち込んでいます。
2009年(H21)に久美子社長が就任し黒字化に成功します。これは、広告宣伝費をカットしたことによる効果でしょう。
その5年後親子の経営権争いが始まり、最終的には2015年(H27)に娘の久美子社長が経営権争いに勝利します。
しかし、父親の勝久元社長が創業した”匠大塚”に顧客が流れたこと、企業イメージが落ち顧客離れが進んだこと、イケア、ニトリ、等の企業の台頭などもありとても危険な状態まで業績の落ち込みが進行しています。
H27年以降の売上高は、住宅着工件数が微増にもかかわらず大きく落ち込んでいます。これは経営環境以外の問題があることは明らかですね。
H27年の急激な業績の悪化で、資金繰りが厳しくなり企業の存続が危ぶまれるほどの状況になっています。EC事業者やファンド等からの増資で当面の運転資金を確保できていますが、このままの状態が続けば存続は厳しいといわざるをえないでしょう。
問2:経営者に対し中小企業診断士としてアドバイスをしなさい。
思いつきません。
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