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親子間での経営権争いや経営不振で最近話題になっている大塚家具。その大塚家具の決算が2019年2月15日に発表されました。そこで、中小企業診断士である私が事例4第1問風に読み解てみたいと思います。
2018年12月期決算短信
https://www.idc-otsuka.jp/company/ir/tanshin/h-31/h31-2-15_4.pdf
概略
大塚家具は、家具屋姫こと大塚久美子社長が親子間でのプロキシーファイトで経営権を勝ち取りましたが、その後厳しい経営が続いています。超優良企業と言われていましたが、イケアやニトリ等の競合他社の台頭もあり利益が出せず、資金繰りも苦しくなり資本の増強や支援先を模索している状況です。
重要と思われる指標は?
収益性指標 売上高営業利益率 ▲13.8%
売上高は、37,342,793(千円)。営業利益は、▲5,168,695(千円)となっています。
従って、営業利益率は、▲13.8%です。
事業に関わりの深い住宅発売戸数が低調に推移した為、売上高が約9%下落した。販管費は約8%削減したが、棚卸資産の評価損を売上原価に計上したこともあり売上高の落ち込みを賄えず、営業損失は昨年より増加し5,168(百万)となっている。
営業施策については、①寝具ブランド”レガリア”の新製品の投入、②EC事業の強化、③住宅事業者との販売提携の修復・新規開拓、を実施した。しかし、既存店舗の来店者が2桁のマイナスとなったこと、店舗面積を縮小したこと、商品展開が不十分であったこと、により売上高は低調に終わった。
効率性指標 棚卸資産回転率 2.28回転
売上原価20,809(百万) 棚卸資産9,143(百万) 棚卸資産回転率 2.28回転
セールなどにより展示品の適正化を図ったが、売上高増加には十分な効果が出ず、ニトリ6.3回転、島忠5.1回転など同業者と比べて低い。
安全性指標 自己資本比率 60.8%
自己資本比率は、60.8%と良好である。また、流動比率236%、固定長期適合率40.2%と短期及び長期安全性も良好である。
経営難と言われているが、安全性指標は一般的には良好な値と言える。
まとめ
現状だけを見ると財務体質は良好であるが、なぜ経営が危ないと言われているかというと、あまりにも売上の落ち込みが激しいということである。
営業利益が4億円赤字であった5年前の売上から33%も下落し赤字額は51億円まで落ち込んでいます。
また、期末の現金等は、27億円であるところ、今期の営業キャッシュフローが▲26億円である。つまり、今期と営業CFが同様ならば来年には現金がなくなってしまうということである。
今は、土地や投資有価証券などを売ってしのいでいる状態であるが、もう売却できる資産は少なくなっていると言わざるを得ない。(今期土地に関しては92%売却している。23憶→1.8憶)
外資等から38憶の増資が決定したようですが、それでもこのままでは、2年持たない状況です。この状態からV字回復ができるかどうか、今後の大塚家具に注目です。